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アンフォラの良さ

外苑前のワインショップ、ウィルトスさんの「クヴェヴリ・アンフォラワイン集まれ!」という名の試飲会に行ってきました。

 

Facebookのイベントページのバナー画像にあった「集まれ!!」という掛け声は伊達ではなく、本当に大集合していました。

 

アンフォラの良さについてまとめようと思ったけど、いきなりデメリットを書いておくと、熟成させてる間の蒸発分が樽より多く(いわゆる「エンジェルシェア」)、30%以上も目減りするそうで、さらにほっておくと産膜酵母ができてシェリーっぽくなってしまったりするのでどんどんワインを注ぎ足していかねばならず、割高になってしまうそうです。

 

それに、なんといってもジョージアの伝統製法のクヴェヴリを輸入すると一個100万円くらいするそうで、そんなの何基も入れたら設備投資としてワイン代に上乗せするしかないですよね。

結果、値段が上がってしまうということになります。

 

(ちなみに元祖壺造りの国ジョージアではクヴェヴリを造れる国宝級の腕前の職人さんは8人くらいしか残ってなく、購入は順番待ちなのだとか。)

でも!千円代で買えるこんなお値打ちのアンフォラワインをトスカーナで造ってるなんて衝撃的。

 

エチケットに書いてある「CONVENTINO」というのはイタリア語で「修道院」という意味だそうです。修道院なので、昔から農薬など使わず有機農法でやっていたのだとか。

グレープリパブリックの設備で、アンフォラで醸造したそうです。

ネオマスカット、シャインマスカットが入っているとのことで、マスカット系の華やかな香りがしました。

 

1,270本しか造ってないそうです。

これ、飲みたかったの。

 

山梨県の大和葡萄酒でジョージア産クヴェヴリで醸しているそうです。

 

日本のブドウ品種の甲州はジョージア原産の品種と関係があるということも判明しているのだとか。

シャルドネ100%のアンフォラ醗酵・熟成だそうです。

 

アンフォラは国や地方によって様々な呼び方をするようですが、こちらは生産国がスペインなので「ティナハ」ですね。

ソーヴィニヨン・ブランとソーヴィニヨン・グリを使ったフランスのアンフォラワイン。

 

ソーヴィニヨン種らしい爽やかな味わいでした。

こちらの生産者はあのルロワ女史に師事していたそうです。道理で美味しい。

最近亡くなったソリコ・ツァイシュヴィリ氏のワイン。

 

この人はジョージアでは大御所中の大御所ですね。ご冥福をお祈りします。

アンフォラで泡があるんですね。

 

と、話していたらPet Natだそうです。

 

とても好きなやつ。

山形県で活躍されている藤巻一臣氏と、NZのアレックス・クレイグヘッド氏のコラボレーション・ワインだそうです。

 

このワインの名前は知ってたけど、アンフォラワインとして認識したのは初めてでした。へぇ。

これはジャケット見たことあるけど、飲んだことなかったやつ。

品種はジョージア土着のオジャレシ100%。

 

なおオジャレシの赤は、ジョージアワインの中で最も繊細(finest)とされていると聞いたことが。ほんとかな。

これも国際的に超有名なジョージアのメーカー、フェザンツ・ティアーズのワイン。

 

やっぱり美味しいですねー。

こちらはカベルネ・ソーヴィニヨン、アブリュー、マルベックなどのブレンド。

 

フランスで造ってるだけあってザラつきがなく、フィネスさえ感じるのはルロワ女史を継承しているからでしょうか。

さて、アンフォラを使うと何が良いかというと、まず樽よりアンフォラの方が、酸素透過がむちゃくちゃ良いそうです。

 

それだけ早く熟成が進み、自然派で造ろうとしている生産者からしたらメリットがいっぱいあるそうで・・・この辺はもう酔っ払ってメモをとるのを忘れました。むにゃむにゃ。

 

難しいことはさておき、アンフォラワイン、美味しいし、翌日残らないので控えめに言っても最高です。

この日は他人様の会なので、できるだけ口出ししないで黙ってようと努めて聞いていましたが、主催者がこちらにちょいちょい話題を振ってきてくださるので、つい熱くなって一言だけ反論してしまいました!

 

というのは、「ジョージアでは学者やお医者さんなどでワインを造っている人が多い」という話。たぶん、相撲の栃ノ心関の実家がワイン農家、ってテレビで報道しすぎなんじゃないかと、それでジョージア人の家でワイン造ってるなんて当たり前のことなのでは・・・と常日頃感じていたので。今思えば、たぶん主催者の方はそんなつもりで発言したのではないと思うのですが、、大変失礼しました。

 

とにかくジョージア人400万人の国民のうち、首都トビリシに住んでいる100万人をのぞいた約300万人がワインを造っているだろうし、その造ったワインを、自分たちで消費するか、外国へ輸出するかの違いであって、それはその人のマインドであったり語学力の問題なのではないかと思うのです。

 

今でもジョージアのワイン農家さんには母国語(グルジア語)の他に話せるのはロシア語、という人が多く、生産者さんとの直接的なコミュニケーションはロシア語の方がスムーズだということ(もしくは勿論グルジア語。ただし世界的にみても絶対的にグルジア語話者が少ない)。

世代が変わって、地方でもロシア語より英語の方が得意という国民が多い時代になれば、また市場の流れも変わるかも知れないけれど、それまではまだ元学者や元医者(つまり英語などで高等教育を受けた人)などの富裕層だけが海外へと開かれた窓口なのではないでしょうか。

 

どこかの国もそうですね。

 

と、たまには真面目なまとめをして締めくくりたいと思います。